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フルートは音痴?ー音程を気をつける

横に吹く笛というものは、フルートに限らず、歴史的に万国共通で音痴楽器らしく、イタリアバロック時代の指揮者が「フルートは音痴だから嫌になる」と言ったとか、三味線唄の方に「笛吹きさんは音を外されるので唄いにくい」と言われているなどという語録が残されています。

万国共通、歴史的に深い、この”笛吹きは音痴”


「楽器が悪かったんだ、楽器が。今のフルートは改良されて音程もバッチリだよ」


と皆さん仰るかもしれません。しかし残念なことに、フルートという楽器は現在のモダンフルートになっても、音程というのが実に厄介な楽器です。

レベル別にみると初心者が最初から音程に気をつけるのは結構至難の技です。というのも「正しい音程で演奏する」ということが、ある程度の技術がないと難しい楽器だからです。

概して、高音域はべらぼうに高くなり、その音域の音程を合わせるために頭部管をうんと引き抜くと低音域がべらぼうに低くなります。口に頼らずお腹からしっかり吹くこと、脱力すること・・などで段々解決されては行きますが、そう簡単にはいきません。

 


 

アンサンブルでの音程:

部活などで音程を合わせようと、縦の線(和音)を気をつけることは最初の頃から気をつける。合奏で和音が合っていないと気持悪いですからね。

 

それに関しての練習方法は以前のアンサンブルのテクニックで練習方法を読んでください。和音感覚を身につけるという意味での練習方法を書いてあります(複数でもできる方法など)

ソロで演奏する場合

意外と歌心やら、音色やらには注意しても、そこまで音程に気をつけていないこともしばしば。ある程度の音程は楽器に頼れても、音程は気をつけるべき課題です。でないと、折角素敵に音楽的に吹けていても、気持込めて歌えば歌うほど音程が上ずって何となく下手・・・なんてことに。

 

 

例:バッハ
そんな音程の問題がリアルに響くのが「バッハ」です。…もちろんどんな曲でも音程が悪ければ気になりますが、基本的な音の跳躍と音階のオンパレードのバッハは覿面です。そんなに高音域はないのに(笑)


一度フルートを置いて、鍵盤楽器なり、チューナーなりと音程に非常に注意しながら歌ってみてください。あらー、こんなに音離れてたのね、高音ここまで高くなかったのね・・・とか、色々発見があるかと思います。


さて、自分の笛は音痴だった・・・と気付いたところで、どうやって練習するか。

 


・まずは歌えるようにしてみる(ゆっくりでOK) 時々鍵盤を外して歌ってみると、自分の音程の良さが(!)わかる。

bach_sonata_em_mi_menor.jpg

・通奏低音と練習する / (通奏低音を録音するなどして)

 

 


・スラーで練習する(注たっぷりした良い音で)

 

 

唇のしなやかさを得るにもとても良い(疲れる)訓練です。バッハに限らずテレマンファンタジー独奏など、跳躍が多くあります。バロックフルートの方がモダンよりも楽に跳躍が出来るというのも要因かもしれません。跳躍が続くと、アンブシュアの条件が悪くなる…などで、吹くことそのものがしんどくなり、どんどん音程が適当になってきてしまう原因になります。唇のしなやかさは、息の安定は重要な点ですし、そんな調子外れな音程を耳が「気持ち悪い」と思ってくれるように、耳の訓練をしましょう。

 

スラーの練習をゆっくり自分の音程がしっかり聞ける範囲でやってみると、うーん、なんだか違う曲に聞こえてきた・・・。なんてこともあるかもしれないです。


とはいえ、バッハの時代にはこれをバロックフルートというさらに音程的には不安定な楽器で演奏していました。だから音程が悪くても良いのですと言いたいのではなく、音程がカッチリ合えば良いのかというと、そういうわけでもないという、音楽の不思議もあるので、そちらもお忘れなく。

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